まちづくり史の意義・役割
まちづくり史は、土地、地域、コミュニティに根ざした住民の自主、自立の活動としての「まちづくり」の変遷を記録したものと定義します。まちづくり史という観点で歴史が整理されたことはこれまでありませんでした。
これまでのまちづくりの歴史、とりわけ市民がまちづくりにどのようにかかわってきたかを、それぞれの時代背景とあわせて知ることは、まちづくりに取り組む上で、大いに参考になる情報がたくさん含まれています。
まちづくり史には、今ぶつかっている問題の解決策や、将来像が見えない状況にあるときの打開策などについて、何かヒントが隠されているかもしれません。京都でまちづくりに携わるのであれば、是非京のまちづくり史を学んでください。
京都のまちづくりとは
1200年を超える歴史の中で、京都は、「都市の自治」を育み、自治の伝統に彩られた様々な市民活動により、自立性の高い活力あるまちとして発展してきました。
京都は、地域を自分たちでより豊かにしていくというまちづくりの精神が歴史の中で培われてきました。だからこそ、伝統を重んじながら新しい物に目を向け、まちを常に発展させていこうと考え、伝統的な産業を維持しつつ新しい産業を起こす力を持ち得たのです。
市政運営の基本原則である市民と行政とのパートナーシップによるまちづくりの考え方が生まれた背景には、こうした京都市民の自治の歴史が大きく影響しています。
京都のまちづくりの歩み
「京のまちづくり史」では、時代を大きく「前近代(平安初期~江戸末期)」と「近代(明治~現代)に分けて整理しています。
平安京から現代京都にいたる「まちづくり」の道のりを考えると、「住みこなし型まちづくり」(平安時代~室町時代) → 「計画型まちづくり」(戦国時代~近代)→ 「参加・協働型まちづくり」(現代~)という、大きく三つの段階を考えることができます。
京のまちづくり史では、前近代を“京都の礎”、近代を“近代のまちづくり”として整理し、通りの話や町の成立、まちなみの考え方、町家とまちづくりについては“京都の礎”で、歴史都市京都の成り立ち、祭りの役割、地域がつくった小学校、産業とまちづくり、都市計画によるまちづくりについて“近代のまちづくり”で取り上げています。
まちづくり史を学習されたい方は、景観・まちづくり大学の「京のまちづくり史セミナー」を受講してみてはいかがですか。