京町家再生プランの概要

 京町家は、今日もなお居住用・事業用として幅広く利用され、町衆の自治の歴史が息づく市民の生活を支えています。
 京都市では、京都の歴史・文化の象徴である京町家の保全・再生を促進するための支援策として、「京町家再生プラン」(平成12年5月)を発表しました。本プランは、(財)京都市景観・まちづくりセンターが京都市から委託を受け、約600名ものボランティアの皆さんの参加を得た「京町家まちづくり調査」(平成10年4月)の調査結果を踏まえて策定されました。

市民が取り組んだ京町家の調査
出格子
戦後の改変により出現した看板建築

 京町家の原型は江戸中期に形成されたが、その後伝統を保ちながらも、その様式は時代と共に変化し続けています。
特に、戦後の改変は大きく、一見するとビルのような「看板建築」も町家が姿を変えたものです。

京町家再生プラン

アクションプラン21

 京町家再生プランでは都心部に約2万8千軒存在する京町家の現代的役割を評価し、保全・再生に関わる課題を整理した上で、21世紀に向けて当面取り組むべき21項目の内容をアクションプラン21としてとりまとめています。

アクションプラン21の基本的考え方

 本プランは、京町家の保全・再生を通じ、活力あるまちづくりを目標とするものであることから、京町家の居住者及び事業者をはじめとした、住民、企業の主体的な取組みが重要となっています。行政の役割は、そうした取組を促進する環境や条件整備を行うとともに、先導的な取組を推進することですが、住民・企業・行政のパートナーシップによる実践過程で、関係者間の橋渡しや情報提供に(財)京都市景観・まちづくりセンターが積極的な役割を果たすことが求められています。

京町家アクションプラン21の概要

ひと-くらしの文化の継承・発展

■京町家に暮らす「人」が誇りをもち、安心して保全・再生に取り組むネットワークづくりの支援

1.京町家の暮らしと価値の情報発信と交流を促進するためのネットワークづくり
 -みんなで考える京町家交流ネットワークの形成-
2.京町家についてのさまざまな相談に応じることのできる仕組みの整備
 -京町家なんでも相談システムの整備-
3.京町家にふさわしい賃貸借の仕組みの整備

たてもの-空間文化の継承・発展

■建物としての京町家の適切な改修などの促進による保全・再生の支援

4.住み続けるための改修工事の円滑化、改修工事契約の仕組みの整備
-改修工事のなるほど手引きの整備-
5.京町家に適した部材や工法の開発の促進
6.モデル事業を通じた京町家の改修についてのさまざまな情報の分かりやすい発信
-来て見てわかる京町家改修の技術と工夫のいろいろ-
7.公的な融資制度による改修の普及
8.耐震改修の促進
9.京町家を維持・継承するための建築行為を可能とする方策の検討
10.歴史的意匠建造物指定による保全・再生の支援
11.文化財登録に向けた詳細調査の検討
12.京町家基金の設置の検討

まち-まちづくりの文化の継承・発展

■京町家の魅力をより有効に活かすことにより保全・再生を進めていく幅広い分野の支援
13.地域まちづくりの促進
14.地区単位での整備手法、都心景観の保全・再生方策の検討
15.防災活動の促進
16.住宅政策における京町家の保全・再生促進策の検討
17.袋路再生の促進
18.町家型共同住宅の促進
19.伝統産業の活性化・育成
-京ものブランド町家工房事業の実施-
20.都市型観光の促進
21.新事業創出や商業振興等に向けた京町家の活用方策の検討